刑事弁護


Criminal defense

弊所では,刑事事件の被疑者・被告人となった方の弁護活動についてのご相談をお受けしています。事案により,被害者との示談交渉にあたっては,被害者の心情等に配慮し,被害者支援に精通した女性弁護士が対応させていただくことも可能です。

1 刑事事件の流れ

(1)逮捕・勾留
 ・逮捕

  逮捕とは,被疑者の身体を拘束し,引き続き短時間その拘束を続けることこいいます。全被疑者のうち,逮捕されているのは30%ほどです。ほかは,いわゆる不逮捕・在宅事件として,身体拘束なしに捜査が続けられます。

逮捕を行なうのは警察で,逮捕後は警察による取り調べなどの捜査が行われます。この警察の捜査は48時間以内と決められています。

逮捕後48時間以内の警察の捜査が終了すると,次は検察へと被疑者の身柄が移され,今度は検察によって捜査がされることになります。検察と警察とは各々独立の捜査機関です。検察は改めて捜査をし,被疑者が本当に罪を犯したのかどうかを判断します。

 ・勾留

  検察での捜査は,24時間以内と決められています。 しかし,この24時間での捜査では判断できないこともあり,その場合,検察が裁判所に勾留請求を行ないます。身柄を解放すると逃亡の恐れがあるような場合や,身柄を解放すると証拠隠滅を図る恐れがあるような場合,引き続き身柄を拘束されます。裁判所から認められると,最大20日(国交に関する罪などの一定の重大犯罪については最大25日)の勾留がされます。身柄の拘束が長引けば,社会的にも影響が出てくるでしょうから,長期勾留を回避することも対処すべきことのひとつです。

 ・家族の面会

  逮捕後72時間は接見禁止の処分に関係なく,原則的に逮捕者の家族であっても面会することはできません。しかし,弁護士であればこの逮捕後72時間でも面会することができます。一度の面会であれば無料で行ってくれる「当番弁護士」という制度がありますので,逮捕後すぐに状況を把握したいのであれば,当番弁護士制度の利用を考えてみてください。

 ・微罪処分

   事件は警察から検察官に送られる(送致)のが原則ですが,検察官があらかじめ指定した軽微な事件については送致しないことができます。その際,警察では被疑者に対する訓戒等を行い,被疑者は1〜2日程度で身柄を解放されることとなります。この場合,身元引受人として,家族や職場の上司などに迎えに来てもらう必要があります。

(2)起訴
 ・通常の手続

   このように,それぞれの48時間24時間20日の期間を合計した,最大23日以内に,検察は被疑者を起訴にするか不起訴にするかの判断をします。

   起訴とは,検察が裁判所に対して訴えを起こすことです。裁判によって,有罪か無罪かの判決と,被疑者に与えられる刑罰の判決が下されます。なお,実際の刑事裁判での有罪率は99.9%と非常に高いものとなっています。

   起訴がなされると,その後被告人は刑事裁判を待つ身となりますが,刑事裁判が開かれるのは起訴後1カ月程度となっています。その間にも身柄を確保しておく必要があると判断されると,起訴後も勾留され続けてしまいます。

   長期間に及ぶ起訴後勾留ですが,国にお金を預けることにより,一時的に身柄を解放してもらう保釈の制度があります。詳しくは「3 保釈」をご覧ください。

 ・略式手続

   略式手続とは,簡易裁判所が検察官の請求によって,刑訴法の定める公判手続によらず,書面審理のみで被告人に100万円以下の罰金または科料を科する裁判をする手続です。通常の起訴を簡略化し,簡易かつ迅速に行う方法といえます。略式手続は,被告人にこの手続によることにつき異議のない場合に限られています。起訴される被告人のうち,8割前後が略式手続によって処理されています。

(3)公判

   第一審の刑事裁判は,冒頭手続,証拠調べ手続,判決という流れで行われます。

   被告人も公判への出頭が原則として義務づけられています。もっとも,公判期日への出頭は被告人の権利でもあるので,裁判所から召喚という方法で公判期日が被告人に通知されます。

(4)判決

   被告事件について犯罪の証明があったときは,有罪判決が言い渡されます。

   刑の執行を猶予する場合も,刑の言渡しと同時に,判決でその言渡しがされます。刑の執行が猶予される場合は,最近の統計によると,法律上執行猶予の可能な者について,懲役刑の約60%,禁固刑の約92〜94%に及び,かなり高い比率を示しています。

(5)控訴,上告

   第一審の判決に対して納得できない場合には,高等裁判所に控訴することができます。近年,地方裁判所の第一審判決のうち10〜12%,簡易裁判所の第一審判決のうち5〜6%に対し控訴が申し立てられています。

   上告は,未確定の事件に対する上訴の一種ですが,控訴審と異なり最高裁判所は憲法判断と法令の解釈統一を任務としていますので,事実誤認や量刑不当は上告理由とされていません。

   判決日の翌日から2週間以内に,控訴,上告の手続きをしなければ,その時点で言い渡された刑が確定するということには十分注意が必要です。

   なお,弁護人を務めた弁護士の契約期間は,裁判ごとで終了します。控訴や上告をして裁判を継続する場合,弁護士とは再度契約しなければなりません。

 

2 弁護人を依頼する

  刑事事件の弁護人依頼は,早いに越したことはありません。

  逮捕から勾留までは,72時間以内,勾留から起訴までは最大20日と期間が決まっており,手続はどんどん進んでいきます。

  貧困等の理由により私選弁護人を選任できないときは,国選弁護人の選任を請求することができます。例えば,貯蓄額などの資産が50万円を下回る場合という条件があります。もっとも,この資産調査は厳密には行われておらず,自己申告での調査になります。

  なお,起訴前の国選弁護人が認められている場合は,死刑,無期懲役及び,長期3年を超える懲役刑に値する重罪(殺人罪,強盗罪,窃盗罪,傷害罪,強姦罪など)を起こした事件に限られます。この他の場合には,国選弁護人が認められるのは起訴後からです。

 

3 保釈

(1)保釈の制度

   起訴後の勾留については,被疑者の場合と異なり,保釈が許されます。保釈は,保釈金を納付することで,刑事裁判までの間の身柄を解放する制度です。

   誤解されている方も多いのですが,保釈金は,身柄解放の代わりに一旦国に預けるお金の事です。保釈の際に,禁止されていた行為を行ったり,指定された裁判に出頭しなかったような場合は,預けた保釈金の一部,もしくは全額が没収されることがありますが,このようなことが無い限り,たとえ有罪判決であっても保釈金は全額戻ってきます。

(2)保釈の要件

   現行法上,被告人,弁護人等から保釈の請求があれば必ず保釈を許可する建前となっています(権利保釈)。

   しかし,起訴事実が短期1年以上の懲役,禁錮の重い罪に当たる場合や罪証隠滅のおそれが認められる場合など,一定の事由が認められるときには,権利保釈は認められず,保釈が許されるか否かは裁判所の裁量に任されています(裁量保釈)。

(3)保釈金の額

   保釈を許す場合には,裁判所は保釈金額を定めます。保釈金の金額を決めるにあたっては,犯罪の性質や被告人の資産等を考慮し,被告人の出頭を確保するに足りる相当な額をもって定めるものとされています。

   これらを踏まえて,一般的な保釈金の相場は150万~300万円となっています。

(4)保釈金が足りない場合

   保釈金は,基本的には現金での一括払いですので,そんなに急に集められる額でもないかと思います。そのような場合,保釈金を立て替えてくれる社団法人があります。担当弁護士やご家族を保証人にして,最大500万円まで立て替えてくれ,利息も500,000円の借り入れで13,500円と非常に良心的な金額になっています。

   保釈金がどうしても用意できないようであれば「日本保釈支援協会」をご利用されてみてはいかがでしょうか。

(5)保釈の申請方法

   保釈の申請は基本的に,担当の弁護士が行ないます。保釈の申請は,起訴を受けたその時からできます。保釈を行なう際には,基本的に身元引受人を立て,ご家族等に「私が監督します」という内容の書面を提出してもらいます。仮に,保釈中に被告人が問題を起こしたとしても,身元引受人が責任を問われることはありません。

   保釈が許可されると,裁判所から保釈金の金額と,保釈中の制限が言い渡されます。

   指定された保釈金の金額を裁判所に納めて保釈となりますので,保釈の許可が降りていても,保釈金を集めて納めることが出来なければ保釈はされません。

(6)保釈中の制限等

   一般的な保釈中の制限として,「裁判所から呼び出されたら,必ず出頭する」「住所を変更する際は裁判所の許可を得る」「被害者への連絡は,必ず弁護士を通す」「共犯者,証人などの事件関係者とは接触しない」などがあります。保釈中の制限の内容は,被告人の状況によって違いますが,これを破ると,保釈金が没収されることもあります。

   保釈中の仕事について気になる方も多いでしょうが,裁判所から個別に禁止をされていたり,職場に事件関係者がいない限り,仕事をすることは可能です。また,保釈中に警察や検察に監視されるようなこともありません。

 

4 接見禁止

  接見禁止とは,逃亡,または証拠隠滅,第三者との口裏合わせなどの疑いがある被疑者に対して,弁護士以外の面会,書類(手紙)の受け渡しを禁止することです。被疑者が容疑を否認していたり,組織的犯罪が疑われる詐欺事件,薬物事件,暴力団関連事件などの場合に接見禁止がなされることが多いといえます。接見禁止の期間は,捜査の進み具合と,検察官のさじ加減になり,明確な基準はありません。いつまで接見禁止になるのかは,警察に確認するのがよいでしょう。

 

5 示談

  被害者のいる事件において示談が成立しているかどうかは,起訴不起訴の処分や量刑に大きく影響し得る事情のひとつです。被害者のいる事件とは,暴行や傷害罪などの粗暴犯,強姦,強制わいせつ,痴漢などの性犯罪,窃盗や詐欺罪,横領罪などの財産罪などの事件です。これに対し,公務執行妨害罪,贈収賄罪,偽造罪など,国家的な法益を守る犯罪では,示談は問題となりません。

  検察庁や裁判所は,刑事事件の被害者に金銭的賠償がなされ,被害者がもはや犯人の処罰を望んでいない時には, 被疑者や被告人に寛大な処分や刑を科すものだからです。