離婚・男女問題


Divorce

 弊所では,離婚をはじめとする男女間のトラブルについて,案件に応じて男女の弁護士,スタッフがチームを組み,対応させていただいております。複数の外国語に対応可能ですので,男女間の国際的な紛争のご相談についてもお任せください。

1 離婚の手続

(1)協議離婚

 協議離婚とは,夫婦間の離婚意思の合致と届出によって成立する離婚をいいます。

 協議離婚届出書には,所定の離婚届の様式(市区町村役場に備えてあり,市区町村によってはウェブサイトからダウンロードして印刷できるようにしている場合もあります。)に所要事項を記載し,夫と妻それぞれの署名・押印と,証人2名の署名・押印をします。証人は,当事者以外の成人であれば誰でも構いません。当事者及び証人が押印に用いる印鑑は,ゴム印でなければよく,実印である必要はありません。

 なお,離婚届は,どこの市区町村に対してでもできます。どこに届け出る場合でも1通で足りますが,本籍地以外の市区町村に届け出る場合は,戸籍謄本の添付が必要です。

(2)調停離婚

 調停離婚は,調停委員会が当事者を仲介し,合意の成立を目指す手続です。事件の関係人は,調停期日に出頭する義務があり,違反に対しては過料の制裁が科されます。

 離婚調停における管轄裁判所は,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。住所地とは,各人の生活の本拠地を指し,実際に継続的に生活している場所を意味しますので,既に別居をしていて相手方が遠方に住んでいる場合には注意が必要です。

 離婚調停の申立ては,申立書を提出して行います。申立用紙は家庭裁判所の受付窓口に備え付けられています。また,書式は裁判所のホームページでも公開されています。

 申立費用は,収入印紙1,200円と郵券966円です。

(3)審判離婚

 裁判所における離婚手続は,まず家庭裁判所に対する調停申立てをし,これが不成立に終わった場合は離婚訴訟提起となるのが原則です。しかし,調停が成立しない場合であっても,主要事項については合意がなされている場合や,一方の頑なな意思により合意に達しない場合等に,改めて離婚訴訟を提起するのは,申立当事者にとっても社会経済的にも無駄であることから,家庭裁判所が職権で行う調停に代わる審判があります。

 したがって,当事者が審判離婚の申立てをすることはありません。

(4)裁判離婚

 離婚訴訟を提起する場合には,まず家庭裁判所に調停の申立てをしなければならず,調停を経ないで訴えを提起すると,家庭裁判所の調停に付されます。

 申立費用は,収入印紙1万3,000円(原則),郵券5,810円です。財産分与を求めるときは,収入印紙1,200円が加算され,養育費を求めるときは,子の1人について収入印紙1,200円が加算されます。

 相手方(被告)が欠席した場合でも原告が提出した訴状,証拠資料により審理を進めることができるので,裁判官の心証ができれば第1回期日で終結することもできます。

 

2 離婚が認められるための要件

 裁判離婚,審判離婚以外は当事者の合意による離婚ですので,原因やどちらが有責か を問わず合意さえできれば離婚に至ります。

 しかし,裁判では,次の法律上の離婚原因が認められるか否かにより決まります。

(1)不貞行為

 不貞行為とは,配偶者ある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。金銭に基づく女性との性的関係や金銭を得るための売春行為も不貞行為に該当します。

 なお,配偶者の一方が第三者と肉体関係を持ったとしても,その当時夫婦の婚姻関係が既に破綻していたときは,特段の事情のない限り,その第三者は他方配偶者に対して不法行為責任を負わないとする判例があります。

(2)悪意の遺棄

 悪意の遺棄とは,正当な理由なく同居・協力・扶助義務を履行しないことをいいます。

 正当な理由は,別居した目的,別居による相手方の生活状況,生活費送金の有無,別居期間等を総合的に考慮して判断されます。

 悪意の遺棄と認定された裁判例に,妻が精神病の夫のもとを去り,10年以上にわたって同居の努力をしない事例や,婚姻関係が当初から正常な夫婦関係の体をなしておらず,また,夫が手切金を受領して自宅を去り,その後何ら妻子の生活の面倒を見なかった事例等があります。

(3)3年以上の生死不明

 3年以上の生死不明とは,3年以上生存も死亡も確認できない状態が現在も引き続いていることをいいます。生死不明の原因は問いません。

 昭和30年代までの戦地からの未帰還者に関する事案が多く,最近ではこれに該当する判例は見当たりません。

(4)強度の精神病

 強度の精神病とは,その精神障害の程度が婚姻の本質というべき夫婦の相互協力義務,ことに他方の配偶者の精神的生活に対する協力義務を十分に果たし得ない程度に達している場合をいいます。回復の見込みがないことも要求されます。

 精神病離婚の事案は,病者の親族と配偶者の間の合意によって協議離婚という形式がとられている場合が実際には圧倒的に多いです。訴訟となるのは,病者の親族が離婚に反対している場合に事実上は限られます。

(5)その他婚姻を継続しがたい重大な事由

 その他婚姻を継続しがたい重大な事由とは,婚姻関係が破綻して婚姻の本質に応じた共同生活の回復の見込みがないことを意味します。具体的にどのような事情をもって破綻を認定するかは,裁判官の裁量に委ねられています。

 婚姻関係が破綻しているか否かを認定する際の判断に当たっては,婚姻中の両当事者の行為や態度,子の有無や状態,婚姻継続の意思の有無,双方の年齢,健康状態,資産状況,性格など婚姻生活全体の一切の事情を考慮します。

 

3 離婚にまつわる金銭問題

(1)婚姻費用分担請求

 婚姻関係にある夫婦は,互いに同居義務,扶養義務を負っています。その関係が破綻し離婚に至る場合には,離婚が成立するまでの間の夫婦の住居や生活費等の分担が問題となります。

 一般に,婚姻費用は,基礎収入の多い者が基礎収入の少ない者に対して支払う方法により分担が行われます。もっとも,別居に至った原因がもっぱら主に権利者に存する場合には,婚姻費用の分担義務は減免されることが多いです。支払の始期は,現在の実務上は申立て時とすることが多くなっていますが,過去の婚姻費用の不払い分は,財産分与の額を決定する際の考慮要素となります。

(2)財産分与   

  財産分与とは,離婚した者の一方が他方に対して財産の分与を行うことをいいます。

  離婚に際し,夫婦間の経済的格差を調整するため,一定額の財産給付を求めることができるとするのが財産分与の制度です。

 財産分与には,①夫婦が婚姻中に協力して蓄財した財産の清算,②離婚後の経済的弱者に対する扶養料,③相手方の有責な行為により離婚を余儀なくされたことについての慰謝料という3つの異なる要素が含まれるといわれていますが,中心的要素は①の清算的要素です。

 財産分与の対象となるのは,原則として,夫婦の共有に属する財産と,名義は一方に属するが夫婦が協力して取得した財産です。財産分与の額及び方法は,一切の事情を考慮して定められます。この一切の事情には,離婚に至った諸事情,例えば離婚の原因となった個々の不法行為についての判断をも含むと考えられています。

 財産分与で問題となるものに,住宅ローンや退職金,生命保険金等が挙げられます。

 最近では,妻子の居住の必要性を考慮し,不動産の取得を妻に認めつつ,不動産の時価から住宅ローン額を差し引き,差額の負担割合を考え,金銭支払を命じる判決や審判が多くなっています。これから受け取る退職金についても財産分与の対象になりますが,その清算方法については確立されたものがあるわけではありません。これに対し,生命保険金については,生命保険料の支払中に離婚となった場合には,一般に清算の対象とはなりません。もっとも,保険料が婚姻中夫婦の協力によって支払われてきたと評価すべき場合には,離婚時における解約返戻金相当額を明らかにして,これを清算の対象とすることが多くなっています。

(3)慰謝料

 離婚に伴う慰謝料とは,離婚によって被る精神的苦痛による損害の賠償です。離婚原因である有責行為により生じた精神的苦痛に対する損害の賠償と,離婚により配偶者の地位を失うことから生じた精神的苦痛に対する損害の賠償の双方を含むものです。

 慰謝料が認められる典型例は,配偶者の不貞行為,暴力,犯罪,性交渉拒否,性的不能です。

 東京家庭裁判所における統計では,慰謝料の認容額は,500万円以下のものが大半を占めており,金額の相場については,200万円から300万円が多くなっています。

(4)養育費

 養育費とは,未成熟子が社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用です。未成熟子の範囲は,未成年者の範囲とは必ずしも一致しません。

 養育費には,未成熟子の衣食住のための費用や健康保持のための医療費など生存に不可欠な費用のほか,未成熟子がその家庭の生活レベルに相応した自立した社会人として成長するために必要な費用なども含まれます。ですので,予備校や塾の費用,大学を卒業するまでの授業料等も含まれる場合があります。

 養育費の額は,養育費負担者の余力の有無にかかわらず資力に応じて判断されます。現在,裁判所の調停・審判・訴訟においては,算定表を用いた算定が広く行われています。

(5)年金分割

 離婚した場合,年金分割の手続きを取ることができます。夫婦の婚姻期間中のそれぞれの更生・共済年金の保険料納付記録の合計額を当事者間で分割します。すなわち,年金自体を分割するわけではなく,分割を受けた側は,分割された分の保険料を納付したとして扱われ,それに基づき算定された老齢厚生年金を将来受給することになります。年金分割の請求を行う場合,按分割合について当事者間の合意又は裁判手続により定めていることが必要です。

 なお,分割対象年金は,「被用者年金部分」(厚生年金及び共済年金)に限られ,国民年金(基礎年金),企業年金等(厚生年金基金,確定給付企業年金,確定拠出年金等)には及びません。年金分割の請求は,離婚後2年以内,又は審判等により2年を経過した場合には,審判等が確定した日から1か月以内に手続をする必要があります。

 

4 子どもをめぐる問題

(1)親権

 親権とは,子を監護,教育するために父母に認められた権利義務のことをいい,父母が離婚した場合には,どちらか一方の単独親権となります。したがって,未成年の子がいる夫婦が離婚をする場合には夫婦の一方を親権者として指定しなければなりません。

 調停・審判・訴訟における親権者指定の基準は,子の利益に適うか否かです。具体的には,親側の事情(監護能力,経済的家庭環境,居住・教育環境,子に対する愛情の度合い,従来の監督状況,実家の資産,親族の援助の可能性等)と子側の事情(年齢,性別,兄弟姉妹関係,心身の発育状況,環境の変化への適応性,子の意向等)を総合考慮して判断がなされるものとされており,離婚の有責性はあまり考慮されません。

 夫婦間の離婚の合意ができていても,親権者指定の合意ができていないときは,協議離婚の届出はできません。協議によって親権者を指定することができないときは,離婚調停の申立てとともに親権者指定の申立てをします。

(2)監護権

 監護権は,親権のうち身上監護権,すなわち子の心身の成長のための教育及び養育を中心とする権利義務の総称です。監護権は本来親権の一内容をなすものですが,離婚をする場合には,監護権と親権とを切り離して,監護者と親権者を別個に定めることができます。

 監護権者の指定の基準は,子の利益であり,具体的には親権者指定の基準に準じて決せられますが,親権者とは別に監護権者を指定することが子の利益に適うか否かをいう点についての配慮が必要です。

 なお,親権者と異なり,監護権者を定めることは離婚において必須ではなく,離婚後に監護権者を定めるための手続をとることもできます。

(3)子の引渡し

 子の引渡請求は,子の監護に関する処分です。親権者又は監護権者である父母の一方のみならず,監護権者でない者からの引渡請求も認められますが,この場合には,親権者又は監護権者の指定又は変更の申立てを併せてすべきです。

 子の引渡請求は,調停を申し立てることも,審判を申し立てることもできます。審判前の保全処分も可能であり,子の引渡しを命じることができますが,子が15歳以上の場合は,原則としてその子の陳述を聴かなければなりません。

(4)面会交流

 面会交流は,離婚後又は別居中に子を監護養育していない親が,その子と面会したり文通したりする権利です。請求権者と子との面会交流を認めるか否かは,子の福祉の観点から判断され,面会交流が子の福祉を害すると判断される場合には面会交流に制限が加えられます。

 面会交流について父母の協議が調わないときは,家庭裁判所の調停・審判の手続を利用できます。離婚訴訟においては,附帯処分の申立てにより解決を求めることができます。

 なお,実際の面会交流実現に際し,両親の対立が激しい等で実現が難しい場合には,弁護士による子の付き添い・受け渡しがなされたり,民間の会社の援助制度を利用し,子の付き添い・受け渡しがなされたりすることも少なくありません。